性の健康とは何か性の健康について

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性の健康とは何か

2005(平成17)年、世界保健機関(WHO)が策定した 「性の健康と性の権利に関する仮定義(2002年)」 を受け、性の健康世界学会(World Association for Sexual Health :WAS)は、モントリオールで開催された第17回WAS学術集会の席上、「性の健康と性の権利宣言」 を確認・採択しました。

その宣言文にある8つの項目を、現在、世界中のセクソロジスト、アクティビスト達は、性の健康の理念として受け止め、行動しています。

性の健康世界学会 モントリオール宣言

於: 第17回世界性科学会会議 2005年7月15日 カナダ・モントリオール

すべての人々の「性の権利」を認識し、促進し、保証し、保護する

「性の権利」は、基本的人権の不可欠な部分を成すものであり、奪うことのできない普遍的なものである。すべての人々に保証されるべき「性の権利」なくして、「性の健康」を獲得することも、保持することもできない。

ジェンダーの平等を促進させる

「性の健康」には、ジェンダーの平等と相互の尊重が必要である。ジェンダーに関わる不平等や不均衡な力関係は、建設的かつ調和のとれた人間的交流を妨げ、「性の健康」の獲得を妨げる。

あらゆる形態の性暴力および性的虐待を排除する

社会的烙印(スティグマ)や差別、性的虐待、強制や暴力から人々が解放されないかぎり、「性の健康」は達成されない。

セクシュアリティに関する包括的な情報や教育を広く提供する

「性の健康」を達成するためには、若者を含めたすべての人々が、生涯を通じて、包括的セクシュアリティ教育、および「性の健康」に関する情報とサービスにアクセスできる状況でなければならない。

生殖に関する健康(リプロダクティブ・ヘルス)のプログラムの中心的課題は
「性の健康」である、という認識を確立する

生殖は、人間のセクシュアリティの重要な側面のひとつである。それが望まれ、また計画されたものである場合には、人間関係や個人的満足の向上に繋がる。「性の健康」は、「リプロダクティブ・ヘルス」よりも包括的な概念である。既存のリプロダクティブ・ヘルス・プログラムについては、それが取り扱う範囲を広げ、セクシュアリティの様々な側面と「性の健康」について包括的に取り組むようにしなければならない。

HIV/AIDSや他の性感染症(STI)の蔓延を阻止し、状況を改善する

「性の健康」にとって、HIV/AIDSや他の性感染症(STI)の予防、強制ではなく、自発的に受けることのできる検査やカウンセリング、包括的ケアと治療など、これらすべてに普遍的なアクセスを確保することは必要不可欠である。普遍的なアクセスを保証するプログラムをただちに拡充すべきである。

性に関する悩み、性機能不全、性障害の存在を認識し、それらに取り組み、治療する

性的に充足していることは生活の質の向上に繋がるため、性に関する悩み、性機能不全、性障害の存在を認知し、それらに取り組み、治療することは重要である。

性の喜びは幸福(well-being)の一要素であるという認識を確立する

「性の健康」とは、単に疾病がない状態を意味するに留まらない。性の喜びや満足は幸福(well-being)にとって不可欠な要素であり、これを広く世界に伝え、促進すべきである。

(2006年3月 日本性科学連合翻訳 より抜粋)

日本性教育協会、日本家族計画協会、日本思春期学会、日本性機能学会、日本性感染症学会、日本性科学会、 そして、性の健康医学財団の7団体が結束し、日本性科学連合(Japan Federation of Sexology:JFS) という、日本における性科学の啓発、定着を願って発足した学際領域による組織を運営しています。