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ただ、そのような症状のない性感染症が出現した からといっても、“症状に気付きにくい”ということ だけで、今のような大流行をみるようになったので はありません。
それにはもう一つ、世の中の“性”に関する考え が、昔の性病時代とは大きく変わってしまっている ことも大きな原因なのです。いわゆる“性の 自由化・解放”が進んだことで、一般の人々 の中にも、多様な性関係がみられるようにな ってきています。それが無症候の性感染症の 流行を大きく広げる理由になっているのです。
確かに初めは、そのような無症状の性感染 症も歓楽街・フーゾク街から広がり始めたの かも知れません。しかし感染した男性は、そ のことに気付かず、治療もしないまま親しい 女性のパートナーに感染させてしまうのです。 昔の性病時代であれば、大体は、その女性パ ートナー1人の段階で感染のひろがりは止ま っていたはずです。したがって、そこから更 に、次々と他人にうつっていくということはあまり 見られませんでした。
ところが昔と違って、今や“性の自由化”が進ん できたことから、その感染した無症状の女性が、自 分だけで止めておくのではなく、さらに別の男友達 へもうつす機会をもつことも多くなっているのです。
そしてさらに、うつされたその男性が、また次の女性 パートナーにうつすという、玉突き現象が起こり、 感染伝播の形で、感染の輪がどんどん大きく広がって きているのです。このような状況があらわれる程、性 解放が進んだ世の中になってしまっているのです。
最近の性的な男女関係の多様化を示すものとして、 例えば、高校3年生の性経験が4割前後、大学4年生 では7〜8割にも達していることが、各地の性教育研 究会の調査で明らかにされております。しかも性交 渉時、性感染予防のための正しいコンドーム予防を 行っている割合は、かなり低いとされております。 また一般の人々の、感染リスクの高いフーゾク街で の性交渉時でさえも、コンドーム使用率は2割程度 という調査報告もあります。
そのような社会状況のなかで、知らないうちに無 症候の性感染症に自分が感染してしまっている可能 性はないと、あなたは言い切れるのでしょうか。
ここにフランスの面白い、きわめて示唆に富んだ 写真のポスターがあります。それは、昨夜ベッドを 共にした男女がいるとして、その性的な人間関係の 背景を考えると、下図のような複雑な、また膨大な 男女関係につながっていることが示されているので す。この中の男女のどこかに、無症候のエイズを含 めた性感染症をもった人がいたとすれば、その性感 染症が、次々と玉突き状に伝わってきて、昨夜の男 女の2人の所までくる可能性が全く否定できないと いえましょう。まさに“性のあるところ、感染あり” ということになるわけです。このような状況にまで、 性の自由化が日本では進んでいないとしても、これ に近づきつつあることは事実でしょう。
密接な粘膜と粘膜の接触のもとで、次から次へと 感染症は伝わり、広がっていくものであることを忘 れないで欲しいと思います。それなりの危機感と予 防警戒の意識を身につけて、自らの性の健康を守る べきではないでしょうか。
今や、無症候の性感染症が、広く日常的な、普通 の性生活を持つ一般市民の間にも、自覚のないまま 浸透してしまっているのです。しかも症状がないた め、感染した人々が治療せずに放置することにより、 次々に感染者の数が積み重なり、増え続けているの です。
まさに“性あるところ、感染あり”といっても言 い過ぎではない程になっているのです。ことに性的 に活発な生活をしている若い人々の中には、かなり “症状の出ない性感染症”が深く浸透してしまってい ることを知ってもらいたいものです。
自分はフーゾク街とは関係がない、と言っても、 私は性感染症に罹るような危険で不潔な関係をして いないと思っていても、自由な友人間での性交渉を もっている以上、知らず知らずのうちに、そのよう な、新しい症状の出ない性感染症に罹ってしまって いる可能性は十分にあるはずです。
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(財)性の健康医学財団